青い鳥

最初のブログは、重松清さんの『青い鳥』(新潮文庫)について書こうと思います。
なぜかと言うと、この本との出会が偶然的であり、必然的であったからです。
この本は人生の大先輩でありながら院生の同期という間柄の先生からお借りした本なのですが、この本を借りることになる直前に、インターネットの検索で「青い鳥文庫」という出版社の本を検索していました。すると、検索結果の最初の方に、『青い鳥』が表示されていたのですが、私が探していた「青い鳥文庫」では無かったので特に気に留めていませんでした。
その後、同期の先生とランチをしながらお互いの近況などを話していたら、同期の先生が面白い本があると言って、おもむろに鞄から出した本が『青い鳥』だったのです!私は一瞬、どこかで見たことあるタイトルとカバーだなぁと思い、すぐにインターネット検索で表示されていた本であることでビックリして、さらに鳥肌が立ちました。
そのような運命的な出会いをした『青い鳥』ですが、中学校の国語の非常勤講師の村内先生と生徒や教え子にまつわる物語で、八つの短編になっており、生徒の目線で展開していきます。村内先生は、その展開する物語の見えない所で生徒のために凄いエネルギーを使っているのだろうな、というのが村内先生に対する私の第一印象でした。そのような村内先生とは、国語の先生で言葉がつっかえてうまく喋れない吃音で、特に「カ」行と「タ」行と濁音が苦手で、さらに、緊張している時余計につっかえてしまうのです。
その先生が、いじめられている生徒や傷害事件を起こした生徒、不良生徒など、問題を抱える生徒に会って「間に合う」(助ける)物語なのです。
村内先生は、熱い先生でもなく、冷たい先生でもなく、寄り添ってくれる先生なのです。私はカウンセリングでのクライエントに寄り添うイメージと重なりました。
この本を読みながら私自身の中学生時代を思い起こし、その当時は何も考えず、考えられずにモヤモヤしたり、イライラしたりしていた事が、この本で生徒が思っている気持ちと同じだったのだろなぁ、とシンクロする部分がありました。
どの編も私は感動しましたが、この本のタイトルにもなっている「青い鳥」の編の中で、私の心に残る一文をここに挙げておきます。
いじめについてのやり取りの中で、
「ひとを踏みにじって、苦しめるのが、いじめ-。」
「ひとを苦しめていることに気づかず、苦しくて叫んでいる声を聞こうとしないのが、いじめ-。」
この一文で私の中にふっと湧いてきたのは、
「人は知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまうんだよなぁ。」
「困っている人を無視してしまう事もたくさんあるよなぁ。」
です。
そして、私が中学1年生の終わりに亡くなった祖母の事を思い出しました。祖母は若い時から糸を製造する紡績工場や、家が織屋をしていた関係もあり、昔から綿埃を吸い込むことが多かったようです。それが原因で肺の病にかかり、73歳で他界しました。私が病院にお見舞いに行ったある日、祖母が優しい顔をして「真面目に生きていたら、良い事があるからね。」と言った時がありました。結局、それが祖母と私の最後の会話になりました。祖母が亡くなってから時々、その言葉は思い出しては、「祖母の言った真面目ってなんだろう」と思い考えながら「今の私は真面目に生きているのだろうか?」と自分を振り返ります。
今回、この本を読んで祖母の言った「真面目に生きていたら…」とは「真剣に人生を生きなければいけないよ。」なのかもしれないと思ったのでした。
祖母が亡くなって31年経たっても、あのときの言葉以外に何か意味があったのか、意味などなく言葉通りだったのか、わかりませんが、物語の村内先生の言葉が生徒の心に寄り添っているように、私の心には祖母の言葉が寄り添っています。

青い鳥

プロフィール

おおたよしかず

Author:おおたよしかず
浜松市(旧浜北市)生まれ・育ちのアラフィフ男性です。
私は転職や離婚を経験して悩んだ時期もありました。そのような中、縁あって大学院で臨床心理学を学ぶ事ができました。心理学を学んで行くなかで自分自身を見つめ直すことができました。これらの経験を活かし地域貢献することができたらという思いに至り、浜北心理相談室を立ち上げる運びとなりました。皆様の悩みに寄り添いながら一緒に歩んでいけたらと思いますので、よろしくお願いします。
(資 格)
・臨床心理士
(所属学会)
・一般社団法人 日本心理臨床学会
・一般社団法人 日本箱庭療法学会
(所属研究会)
・東海箱庭療法研究会
・東京ソンディ研究会